2019年9月28日、大学のI先生へ書いたメールの内容です。
NSAID
NSAIDの使用は、炎症があるかどうか、炎症を起こすかどうか(悪い使い方をまだして)で判断。
炎症がなさそうと判断した時以外は2週は連続使用。
急性腰痛
運動制限があるような、強い痛みなら、ロキソニン、しゃくやくかんぞうとう1日3回、朝食後、遅めの昼14時、寝る前と処方。
3食後とすると、夜間痛が抑えられない。
開業当初は、筋弛緩剤はミオナール。その後一時テルネリン、どちらも中枢性で眠気が出るので、つりいたみは、末梢性であることもあり、捨てました。
ただし、ロキソニンも、しゃくやくかんぞうとうも、浮腫の副作用は時にあるので注意。
エビデンス、ガイドライン
エビデンスの話。EBMには好意的でしたが、最近は、企業の新薬絡みの論文が多く、論文エビデンスベースのガイドラインは、企業よりになる傾向(限界)があると判断しています。
腰痛ガイドラインでは2008.8.19 BMJのアレクサンダーテクニークの慢性腰痛への効果の論文が漏れていました。
アレクサンダーテクニークでは脊椎(背中)は長く、という表現ですが、脊椎を曲げない動きを意識させます。これだけで、脊椎への負担は減りますね。
逆に曲げるのは膝、股関節。
慢性疼痛の西洋薬
三環系抗うつ薬でも、使用経験がない方がほとんど。
少し前は、疼痛不眠には、トリプタノール、ランドセンを使用。どちらも安価で効果的。
1-3錠の使用なら、副作用も問題なし。リリカ、サインバルタ、トラマールは不要です。
慢性疼痛ではカロナール3グラム分3、ノイロトロピンは基本薬として頻用します。
腰痛、下肢痛の漢方
急性期はしゃくやくかんぞうとう。
朝特に強い痛みが数時間続くときは、浮腫(?血)と考え、けいしぶくりょうがん1日3回を使用。1-2週。
ぴりぴり、じんじんのしびれには、
ごしゃじんきがんが第1選択。
他に、けいしかじゅつぶとう、そけいかっけつとう、とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう が効果的。
下肢痛は筋のつり痛みの場合と、異常知覚の痛み、重い痛みなどに分けられます。
つり痛みには、しゃくやくかんぞうとう、けいしかじゅつぶとう。
異常知覚は上に述べました。重い痛みは、ごしゃじんきがん か そけいかっけつとう。
怒りなど、感情が絡むような場合の、慢性疼痛には、かみしょうようさん、よくかんさん が効果的。
慢性的な、鼠径部、殿部の痛みには、黄金の組み合わせ
そけいかっけつとう朝、けいしぶくりょうがん昼、ごしゃじんきがん夕 と処方しています。
漢方は長期処方でも安全です。眠気も出ません。副作用がないわけではありませんが。
脊柱管狭窄症
脊柱管狭窄や神経根症にリマプロストが使われますが、ごしゃじんきがん 1日2-3回がはるかに効果的。
脊柱菅狭窄症では、膝抱えのストレッチ、立ち方、歩き方(上体ほんの少し前、で歩かせる)と牛車腎気丸で、ほぼ解決します。
原理は、牛車腎気丸で神経の浮腫が減り、そらないことで、神経への負担が減り、知覚異常も減るようです。
私は研修医のときから漢方に触れて効果を実感してきました。専門的に勉強したわけではなく、セミナーなどはよく出ていますが、しかし、生薬で効果を判断して、組み合わせて試行錯誤しています。また、漢方は1日3回処方されますが、1回でも効果を発揮するという実感があります。
その結果、トリプタノールやランドセンの使用頻度はもっと減っています。
漢方は症状への効果があるので、リリカのように、全般的に脳の機能が落ちるわけではないので、症状がよりとれる、はるかにとれる、結果になるのだと思います。
トリプタノールでも、ランドセンでも、結局、脳の機能を全般的に落として、脳を休める、脳の興奮を落とす、効果だと思います。
線維筋痛や慢性広汎性疼痛の背景
線維筋痛や慢性広汎性疼痛の患者さんでは、頚椎由来の人が、腰痛由来の人より多く、頚椎由来の場合、潜在的に、脊髄症を持っている人が多いようです。多分、多くは屈曲脊髄症と感じています。ただ、脊髄症の症状が前面に出ず、体幹、四肢の痛みと表現されます。
エコー下ファシアリリース
エコー下ファシアリリースの話もありましたね。
下肢痛は筋のつり痛みの場合と、異常知覚の痛み、重い痛みなどに分けられます。
それぞれが、症状の部位で、筋、神経のトリガーを探し、圧痛点をエコーで見て、ファシア重積をリリースすることで、症状がとれます。
知覚鈍麻の場合、その近位で圧痛があることが多く、その痛みで、遠位が鈍麻しているように脳が感じているようです。
使用しているのは5倍希釈のキシロカイン、1ヶ所5cc程度です。
リリースするようになって、仙骨硬膜外はしなくなりました。
神経根ブロックも不要だと確信しています。
神経根の炎症は、NSAID内服と漢方で治ります。
あとは使い方、曲げない、ひねらない、自然治癒に向かいます。
圧迫骨折の楔状変形があっても、筋力で背中を伸ばせます。